一元管理と同期
紙の書類中心のアナログ事務時代では、各部門を紙の伝票流れていき、必要な部署で帳簿に書き留めて記録していきました。
例えば、商品が売れると
1.複写式の伝票を起票します。
2.複写式の伝票の1枚は、納品書として顧客に商品とともに渡されます。
3.顧客が遠方の場合は、商品とともに納品書を送付します。
4.運送伝票を記載し、運送御者の手配をします。
5.複写式の伝票の1枚は、納品書控えとし、この情報を活用します。
6.顧客の情報(販売記録や住所、名前、連絡先、販売担当、日付、商品、その他の情報など)を顧客台帳に記載し後日の営業活動に備えます。
7.納品控えを元に営業報告書を作成します。1日のまとめは日報として、上位管理者に報告されていきます。
8.商品発送後、運送伝票の控えを経理担当部署に送付します。
・・・・以上ここまで営業事務・・・・
8.複写式の伝票の1枚は売上伝票として経理担当部署に回付されます。
9.経理担当部署では、伝票を綴って保管するとともに税務上必要な帳簿(元帳に)記録していきます。
10.商品の支払いが掛け売りの場合は、売り替え台帳に記載し後日の請求に備えます。
11.運送伝票の控えを台帳に記載し、後日の買掛金支払いに備えます。
・・・・以上ここまで経理事務・・・・
12.1日単位、または、月末単位で各帳票の集計を行い月次の報告書を作成します。
これらは、経理と営業それぞれにおいて実施します。
13.この報告書を元に経営管理者は、期初に作成した予算との差異を検討し次月以降の計画を作成します。
さて、たった商品1個を販売しただけで、とても大変な作業が企業では、行われています。この例は、あくまで簡略したもので、実際には各企業独自のオリジナルのルールがあって仕事を覚えるのも大変でした。
このような紙中心のアナログ時代では、人員も多く必要で作業時間もかなりかかりました。
言い換えれば、商品を販売するためにたくさんの手間と費用が必要でした。
ホワイトカラー、OLという言葉が流行した時代です。それぐらい人員が事務部門に必要だったわけです。
しかし、このままでは、労働生産性が低いので、工場のように自動化を進める必要が出てきます。
そこで、コンピュータとネットワークの導入となってくるわけです。
アナログ時代をまとめますと
紙中心の時代は、伝票など紙の書類が回覧されて仕事が逐次型に進んでいきました。
(1つのセクションの仕事が終わると次のセクションに逐次、仕事と伝票類が流れていく。)
全体の情報は、月末締めとかの報告書類が出来上がってこないと分からない時間のかかるものでした。
このため企業活動の進歩もゆっくり進んでいきました。
アナログ時代の仕事は、組織的に行う仕事で、データの内容も人も範囲も目に見えるというのが特徴で、誤りの発見も容易でした。
さてこれらの仕事がIT時代になるとどうなるのでしょうか?
IT時代のデジタル仕事術では、売上発生時点で、納品伝票(売上伝票)の内容をデータベースに入力するだけの作業でほとんどが終わってしまします。
この時点で注意することは、企業ごとに定められた入力規則を守って入力することだけです。
POSレジのシステムならレジを通った瞬間自動的にデータベースにインプットされます。
また、インターネットショップでの販売も情報は、お客さんが入力してくれますので、こちらはもっと手間がいりません。
経理担当者や営業報告担当者は、必要な時点で、データベースにアクセスして、必要なデータだけを集計して必要な帳票を作成すれば終わりです。
毎月や日々同じ作業が必要なものは、これらも自動化することができます。
このようにデータベースに情報が統一して集められて管理されることをデータ(情報)の一元管理といいます。
この一元管理されたデータは、発生のつど自動的に更新されていきます。日付が前のデータを後から入力しても自動的にソート(並べ替え)されて更新されていきます。
各担当者は、それぞれ自分のパソコンとデータベースとの情報を常に同期をとって最新の状態に管理していくことが重要になります。
紙のアナログ時代には、紙の書類が逐次回覧されて仕事が進んでいきました。
ITデジタル時代には、データの一元管理と同期のおかげで仕事が同時並行で進んでいきます。
人手が少なくスピーディな処理が可能になりました。
ただし、アナログ時代の仕事は、組織的に行う仕事で、データの内容も人も範囲も目に見えるというのが特徴で、誤りの発見も容易でしたが、デジタル時代では、個人の能力で行う仕事で、データの内容も人も範囲も目に見えにくいというのが特徴です。